リベラルの罠 『リベラリズムはなぜ失敗したのか』

2025/06/03

「リベラル」自由を尊重する立場の“人”を指すのに対して、「リベラリズム」はそうした立場の人がよって立つ“考え”や“思想”を指しています。自由は、多様性を認め、一見真っ当に聞こえますが、注意が必要です。自由には、①堕落の自由②高みを目指す自由があるからです。

ここでお勧めなのがパトリック・J・デニーン『リベラリズムはなぜ失敗したのか』(原書房)です。

著者は、現アメリカ副大統領・JDヴァンスの思想的師匠であり、現代政治を理解する上で欠かせない存在になっています。

たとえば、

リベラリズムは失敗した。リベラリズムを実現できなかったからではなく、リベラリズムに忠実だったからである。成功したために失敗した。・・・(中略)・・・平等を促進し、さまざまな文化や信念が織りなす多元的タベストリーを擁護し、人間の尊厳を守り、そしてもちろん自由を拡大するために世に送り出された政治哲学が、現実にはとてつもない格差を生み、画一化と均質化を押しつけて、物心両面での堕落を助長し自由を蝕んでいる。

・自由は制約からの解放ではなく、人間の欲望を抑制しそれにより真実に近い自由のかたちー欲望への隷属からの自由と世界の資源の枯渇の回避ーを実現する人間の能力なのである。

などなど、自由は単に肉欲を満たす自由ではなく、自制し、精神性を高めていくものなのです。まさに、「天国への道は茨(いばら)の道で、地獄への道は舗装されたなだらかな坂道」ということです。
 
 
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