幸福度調査の危うさ 『スウェーデン福祉大国の深層』

2021/05/12

最新の「世界幸福度ランキング2020」では、上位10カ国(1.フィンランド、2.デンマーク、3.スイス、4.アイスランド、5.ノルウェー、6.オランダ、7.スウェーデン、8.ニュージランド、9.オーストリア、10.ルクセンブルク)に北欧諸国が5カ国も入っています。ちなみに、第18位米国、第61位韓国、第62位日本(過去最低)、第94位中国などとなっています。

 

ただ、他の幸福尺度(「地球幸福度指数」や「幸福度調査」など)では順位が大幅に変わったり、何カ国かに居住した経験がある人の印象とは解離があったりして、単純に信じることはできません。

 

そこで興味深いのが、近藤浩一『スウェーデン福祉大国の深層』(水曜社)です。

 

本書では、ヨーロッパ諸国に在住経験がある著者が、スウェーデンの現状について分かりやすく紹介しています。世界幸福度ランキングと現状が解離しているそうです。

 

たとえば、

 

・高い失業率、機能しない失業プログラム・・・スウェーデンもリストラは多く、失業をしている人をよくみかけます。2019年の国際通貨基金(IMF)による主要各国の失業率は、日本2.4%、アメリカ3.7%、イギリス3.8%、ドイツ3.2%、フランス8.6%、スウェーデンは6.5%で、日本と比べるとスウェーデンの失業率は2.7倍にものぼることが分かります。・・・(中略)・・・1990年以降、スウェーデンの失業率は常に日本を上まわり、厳しい状態が続いています。

 

・スウェーデンではアパートを借りたいう需要に対して、個数がまるで足りていません。政府が厳しく建物の規制をしているため、日本のように新たな住宅やアパートを次々と建築できないからです。・・・(中略)・・・1つの物件に対して、1000人以上待っていることも珍しくありません。5,6年待たなければ借りられないほど、アパートが不足状態にあるのです。

 

・スウェーデンでは、紹介状を書いてもらってから専門医に会うまでに、最低でも2,3週間、時には2,3ヶ月待つことがあるのです。・・・(中略)・・・私自身も呼吸器科の専門医に紹介状を書いてもらいましたが、当初は18ヶ月の診察待ちと言われ、実際に専門医に診察してもらえたのは4年後でした。

 

などなど、日本では信じられないスウェーデンの現状が報告されています。やはり「夢の国」などと言うのは、単に「隣の芝は青く見える」ことかもしれません。安易なフェイクニュースに騙されないようにしたいものです。

 


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