新年あけましておめでとうございます。年末年始、いかがお過ごしだったでしょうか?有意義な一時であったとお慶び申し上げます。
さて、近年、
尊厳死(終末期の人に、それをやらなければ死に至ることが予想される治療や処置を控えること)や
安楽死(医師が薬物を注射して患者を死なせること)の問題がクローズアップされております。2021年には、吉永小百合さん主演で、
「いのちの停車場」という安楽死をテーマにした映画が全国上映されました。
そこで今回ご紹介するのが、
児玉真美『安楽死が合法の国で起こっていること』(ちくま新書)です。
本書では、尊厳死と安楽死に関する世界動向が分かりやすく紹介されています。
たとえば、
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安楽死合法化の広がりの一方で、患者が家族が治療の続行を望んでも医療サイドに一方的に治療の差し控えや中止の決定権を認める
「無益な治療(frutile treatment)」論が同時進行している。中心的な概念を「医学的無益性」という。・・・(中略)・・・
簡単に言えば、「もうどうしたって助けてあげられない患者を甲斐のない治療で無駄に苦しめるのはやめよう」、「そういう無益な治療は患者の最善の利益を考えて差し控えるべきだ」と、それ自体は至極まっとうな議論だった。ところが、その議論は繰りかえされるにつれ
少しずつ変質してきた。その間には、世の中の事情、特に医療を取り巻く経済事情が変わっていったのだろう。・・・(中略)・・・
「医師には無益な治療を提供する義務はなく、むしろ求められても
医師は断固として拒否すべきだし、そうする権限ある」との主張だった。
といった具合に、普遍的な信念・思想がないまま、なし崩し的に尊厳死・安楽死問題が進行しています。やはり、身体的寿命だけでなく、
スピリチュアル(霊的)な観点を踏まえた「人の最後」を考えていく必要がありそうです。
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