日本への石油輸入の8割が、中東のサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)となっていて、中東情勢によっては日本に石油が入ってこなくなる恐れがあります。特に、アメリカとイスラエルがイランへの経済制裁を強めていて、中東諸国を巻き込んだ戦乱が予想されます。
そこで今回ご紹介するのが、宮田律『黒い同盟 米国、サウジアラビア、イスラエル』(平凡社)です。
本書では、現在混乱を極めている中東情勢について分かりやすく解説されています。高橋和夫『イラン vs トランプ』(ワニブックスPLUS新書)と合わせておすすめします。
たとえば、
・米国が現在イランに要求するテロ支援の停止など、停止したことを証明するのが非常に困難だ。いったいどうすれば、テロ支援をやめたと認めるのだろうか。トランプ政権はイランに弾道ミサイルの開発停止も求めているが、米国の同盟国のイスラエルは弾道ミサイルを保有し、サウジアラビアもその開発を推進している。イランだけ弾道ミサイルの開発停止を求めるのは不公平に思えるし、イランが開発していてもイスラエルなどに対抗する自衛的行為と言える。
など、極めて理に適った主張が展開されています。また、9.11同時多発テロに関わったテログループのほとんどが、オサマビンラディンを含めサウジアラビア人たちでした。9.11に関わりなかったイラクと戦争し、サウジアラビアと軍事同盟するアメリカの思考も不可解です。本書を読めば、その理由が分かります。
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