管理者の心得 『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』

2019/10/25

世間では「出世うつ」といって昇進して部下を持つとうつ病になる人がいます。自分に能力があれば、“ワンプレーヤー”としては活躍できますが、部下を持ってチームで成果を出していくには、それ相応の「人間学」が要ります。

 

そこで今回ご紹介するのは、安岡正篤『佐藤一斎「重職心得箇条」を読む』(致知出版社)です。

 

佐藤一斎は、江戸末期の儒者で、佐久間象山、山田方谷、横井小楠など幕末の志士たちを数多く養成しました。『重職心得箇条』は、組織のマネージャーとしての心構えを17箇条にシンプルにまとめたものです。

 

たとえば、

 

・「平生嫌ひな人を能く用ゐると云う事こそ手際なり。此工夫あるべし」 これは一斎先生の『重職心得箇条』の中での一つの名言といわれるものであります。どうも人間というものは好き嫌いがあって、いやだ嫌いだとなると、とかくその人を捨てるものであります。

 たとえ自分の気に入らなくても「できる」「これはよくやる」とか「これは正しい」「善い」ということになれば、たとえ嫌いな人間でもそれをよく用いる。才能を活用する。これが重職たるものの手際である。この工夫がなければならないということでもっともな意見です。

 

・「勤向繁多と云う口上は恥ずべき事なり」 これは耳に痛い言葉です。よく活動している人は、忙しい忙しいということが口ぐせになるものです。しかし、いくら忙しくても仕事が忙しい、務めが忙しいという口上は、重職としては言ってはならないことです。

 

などなど、管理職としての心構えが分かりやすく説かれています。

 

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