仏教と統合医療 『がんを治す心の力』

2019/01/18

西洋医学では「病気は診るが、病人はみない」と言われています。東洋医学では「病気だけでなく、病人の心まで踏み込んでみる」とされます。確かに、人間は、心と体が一体となった存在で切り離せません。

 

そこで、今回ご紹介するのが、アルボムッレ・スマナサーラ、小井戸一光『がんを治す心の力』(サンガ)です。

 

本書では、仏教的見地からの心身相関が述べられています。

 

たとえば、

 

・がんというのはひとつのアラームサインだと私は思います。その人の生き方が悪いがために、がんになったのです。がんになるからには、なんらかの原因があるはずなのです。がんになる生き方、がんになってしまうような生き方をしてきた結果として、がんが出てきた。・・・(中略)・・・がん細胞は私たちにそういうアラームを送ってくれる健気な細胞なのですよ。だからがん細胞にも感謝すべきなのです。

 

・だから、「怒り、嫉妬、憎しみ、欲、そういうものを作ってはいけませんよ」と言うのです。作ったら、あなたは自分で自分の首を絞めるだけです。

 

などなど、病を癒すヒントが述べられています。

 

ただ、一方で、

 

・絶対に何も希望を持ってはいけないのです。希望を持たないと、明るくなります。希望がないと、そのとき、そのときが最高だからです。

 

・永遠不滅の魂は存在しません。存在したら最悪です。成長の見込みがないということですから。魂というのは、暗い思考なのです。

 

などとあり、本来の仏教思想とはかなり“ズレ”た意見も述べられており注意です。著者のスマナサーラ氏は上座仏教の僧侶だそうですが、釈尊が説いた思想とは違います。釈尊は、悟りには「菩提心(ぼだいしん)」(つまり、悟りの希望のこと)が必要であり、魂の存在も認めている(たとえば、梵天勧請)からです。この点とても残念です。

 

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