- 現代医学は、遺伝子学や分子生物学が全盛で、すべての病気を「物質的」に説明しようとする流れがメインです。ただ、遺伝子学者で分子生物学者であっても、「精神性」や「霊性」を重視するセンスのいい方もいます。
今回ご紹介する良書が、村上和雄「幸せの遺伝子」育鵬社 です。
著者の村上氏は、高血圧の黒幕である「レニン」の遺伝子解読に成功した世界的遺伝子学者です。現在、筑波大学名誉教授ですが、著者曰く、
遺伝子のすごさ、神秘はほかにももっとあるのですが、これだけ見ても、人間を超えた存在を想定しないわけにはいかない。それは大自然の偉大な力ともいえます。
自然といっても、二つあります。山や川や海など、目に見える自然。しかし、そんなものが人の遺伝子暗号を書けるわけがない。
もう一つは、目に見えない自然です。目に見える自然の奥に、目には見えない自然の法則や摂理というような、よくわからないけど不思議な自然の働きがある。
・・・・・(中略)・・・・・
それは私は、「偉大なる何ものか」という意味で、「サムシング・グレート」と名づけました。人間の理性や知性をはるかに超えた大いなるものに間違いない。
と述べています。
村上氏が表現するサムシング・グレートは、ポジティブ心理学がいうスピリチュアリティ(霊性)とほとんど同一と考えられます。解剖学者の養老孟司(ようろう たけし)氏のように唯物論者もいますが、村上氏は霊性を認めていて、こちらのほうが世界スタンダードです。
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