収入と幸福感 「幸福の研究」

2012/06/07

ポジティブ心理学は、人間の幸福を科学する学問です。これまでさまざまな研究結果が蓄積されてきましたが、私たちの常識を覆すデータばかりです。

たとえば、デレック・ボック「幸福の研究」東洋経済新報社があります。

約10年にわたってハーバード大学の学長を務めた著者には、言葉に力があります。

まず、アメリカは一人あたりの所得が大幅に増加したにもかかわらず、幸福度の平均水準は過去50年間ほとんど上昇していない。

次に、過去35年間、アメリカでは所得格差が拡大してきたが、アメリカ人がより不満を感じるようにはなってない。

さらには、社会保障政策(公的年金、医療制度、失業保険など)にかける政府支出と国民の幸福度には相関関係がない。

などなど、常識を覆すような統計データです。

左翼系のマスコミがよく、「格差社会は悪い」だとか、「社会保障費をもっと上げるべき」だとか、宣伝していますが、本書を読めば、それがいかに間違っているのかが分かります。

また、収入のみを目的とした幸福論を考え直す契機になります。お金はあくまで「手段」であって、何に使うかというその人の「価値観」が大事なのでしょう。


幸福の研究―ハーバード元学長が教える幸福な社会/東洋経済新報社

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