過剰適応 『「期待」の科学』

2014/09/24

心理学では、「過剰適応」というキーワードがあります。相手の期待に応えようと努力するのはいいのですが、度を超えて、完璧に期待に応えようとすると心身の不調をきたします。

そこで今回ご紹介するのが、クリス・バーティック『「期待」の科学』(阪急コミュニケーションズ)です。

本書では、先行研究を踏まえ、どのように期待に応え、自己発揮していくかについて述べています。

・(中毒の構造について)ここで注目すべきなのは、ジェリはギャンブルで「勝つこと」を楽しんでいたわけではなく、ギャンブルそのものを楽しんでいたことである。勝つ喜びではなく、「勝てるかもしれない」という期待が、日々、彼女をギャンブルに駆り立てていた。簡単に言えば、こうした依存症は、動機づけが恐ろしいほど強くなっている状態だ。

・アメリカで住宅バブルがおきた原因はいくつもあった。・・・(中略)・・・人間の強欲が根本にあったことも間違いない。そして何より重要だったのは、「住宅価格はいつまでも上がり続けるはず」という期待をみんなが共有したことである。本来、そんな期待を持つことは正気とは考えられないし、通常の状況ならば、疑いを持つはずだ。

などなど、人生を生きやすくヒントが述べられています。

ポジティブ心理学でも、「お気楽な楽観主義」ではなく、「現実的な楽観主義」をすすめています。つまり、未来を明るく考える楽観主義はいいのですが、現実をしっかり見据えることが大切なわけです。


「期待」の科学 悪い予感はなぜ当たるのか/阪急コミュニケーションズ

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