自由の価値 『ハイエクの大予言』

2015/02/18

トマ・ピケティの『21世紀の資本論』が世界中で流行っていますが、彼の結論を一言でまとめると「資本の集積は無意味なので、格差是正しろ!」と言うことです。

結論に至った彼のデータ解析に問題があって、色々批判もあるようですが、格差是正のために、もっと累進課税を強化しろという主張も問題になっています。

とりあえず、彼の主張が間違いであることは、ノーベル経済学者・ハイエクの代表作『隷従への道――全体主義と自由』を読めば明瞭です。ただ、取っつきやすい書物ではないので、おすすめは、渡部昇一『ハイエクの大予言』(李白社)です。

20世紀の天才経済学者ハイエクと直接話したこともある著者の渡部昇一先生ですが、本書では、とてもわかりやすくハイエク思想を解説されておられます。

たとえば、

・民主主義と自由主義のどちらが重要かといったら、自由主義が重要なのです。民主主義には非常に怖い民主主義もある。フランス革命でギロチンを使った連中も、それが民主主義だと思っていたし、ヒトラーも民主主義だと思い、恐らくスターリンも民主主義だと信じていたはずです。毛沢東だって自分は民主主義だと信じていますし、スカルノもそういったいました。

・ハイエクは、「法の前における形式的平等」は「物質的・実質的平等」を目指す意図的政策と衝突し、両者は両立できないといいます。つまり、「結果の平等」と「自由」は相容れないものであるということです。「分配の平等」、「結果の平等」は聞こえはいいけれども、異なった人々に平等な結果を与えるためにはそれぞれに異なった扱いをしなければならないから、「法の支配」はなくなるわけです。・・・(中略)・・・税制でいえば、人によって税率が違う累進課税がその典型例でしょう。

などなど、ピケティの結果平等思想が粉々に粉砕されています。

やはり、「結果平等」ではなく、「機会平等」が幸福を生んでいくのです。


ハイエクの大予言/ビジネス社

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