足ることを知る 『ワイル博士のうつが消えるこころのレッスン』

2015/02/25

人間、生活がマンネリ化してくると、何事にも感動しなくなってきます。それが「うつ」の遠因にもなると言われています。

そこで、足ることを知る「知足(ちそく)」をすすめているのがアリゾナ大学のワイル教授です。アンドルー・ワイル『ワイル博士のうつが消えるこころのレッスン』(角川書店)

世界的ベストセラー『癒す心、治る力―自発的治癒とはなにか』で有名なワイル先生ですが、本書で印象に残った箇所をいくつか紹介します。

・多くの人が幸福を「どこか外に」求めているということを、私はいやというほどよく知っている。その人たちは、昇給・新しい車・新しい恋人・冷え切ったジュース等々、欲しいけれども所有できていないものがもし手に入ったら幸福になれるだろうと思い描いている。私自身が繰り返し経験してきたことだが、実際にそれを獲得し、所有したときの喜びは、それを思い描いていたときの感情の高まりよりも、かなり小さなものになるのがふつうである。

・気分のぶれ幅の中立的な位置(感情の平均海面)はじつは「幸福」にではなく、むしろスピリチュアルな修行の多くが目標としている「知足」(足るを知るこころ)、「静穏な受容」の心境にある。その心境にいたれば、よいことも、わるいことも、人生のすべてが受容できるようになり、自分自身のことも、自分が世界に占めている場所のことも含めて、すべてが「あるべきように」あり、「すべてよし」なのだということがわかってくる。
 意外なことに、その「受容」から生じるのは、決して受動性や消極性ではない。私自身、その状態にあるときにいちばん無理なく、肯定的な自分になれているということに気づいている。

などなど、本当の自分には「せわしい心境」ではなく「穏やかな心境」でこそ出会えることがよくわかります。


ワイル博士のうつが消えるこころのレッスン/角川書店(角川グループパブリッシング)

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