忍耐力 『信念に生きる』

2015/10/28

ポジティブ心理学では、古今東西の偉人たちの生き方に学び、自分の人生に応用することをすすめます。

今回ご紹介するのが、2013年に亡くなった南アフリカ人種差別解放の父、ネルソン・マンデラです。リチャード・ステンゲル『信念に生きる』(英知出版)

マンデラは、27年間の辛い刑務所暮らしにも負けず、釈放後は、南アフリカ大統領になり、白人と黒人の宥和政策(つまり、人種差別政策の「アパルトヘイト」を撤廃)を成功させました。

本書の著者は、マンデラの自伝(『マンデラ 自由への長い旅』)も編集した経験を持ち、彼の行動哲学のエッセンスを抽出しています。

たとえば、

・人の性格というのは、生まれつき備わっているものだと考えられている。しかし、マンデラのケースを見ると、性格とは、自分自身で形成していくものだということがわかる。若いときには、衝動的で怒りにまかせた行動をすることが多かった人物が、刑務所時代を経て、滅多に怒りを見せることのない穏やかな、いわば、正反対の性格を持つ人間に変わっていった。

・マンデラは常に、「自分は復讐したい」という気持ちで行動しているのではないことを周囲に示してきた。それは、刑務所時代も、大統領就任後も一貫して伝えてきたメッセージだった。「過去は忘れよう」とは、刑務所から出所して初めて行った記者会見での言葉だが、以来彼は、文字通り何百回もこの言葉を発してきた。

・<悪い人間>であることを証明する出来事が起こらない限り、すべての人間はよい人間であるとマンデラは信じている。これは、マンデラの弱点でもあり、純粋さの表れでもある。マンデラは、そもそも「人間とは誠実なものだ」という前提を持っている。・・・(中略)・・・相手を信頼することによって、人は最良の自分を発揮してくれるだろうという期待があるのだ。

などなど、マンデラの経験に裏付けられた教訓が満載です。そして、人の良いところにフォーカスしようとするマンデラの行動哲学は、ポジティブ心理学とかなりオーバーラップしています。


信念に生きる――ネルソン・マンデラの行動哲学/英治出版

アーカイブ

PAGE TOP