憑依 『精神病は病気ではない』

2018/08/17

精神病の原因には色々ありますが、一部「憑依」が関わっている場合があります。たとえば、アメリカ精神医学会の診断基準(DSM−V)では「多重人格(解離性同一性障害)」の診断基準のひとつに憑依が明記されています。

 

したがって、真言宗の住職(萩原玄明氏)が「精神病には、憑依が関わっている」と主張している(萩原玄明『精神病は病気ではない』ハート出版)のは、学問的にみてもおかしくありません。

 

ただ、気になったところがいくつかあってので、以下列挙しておきます。

 

・本人に、狂ってしまった原因は一つもないのです。それなのに、本人に治癒のための努力を無理やりさせている親までいます。・・・(中略)・・・病者本人には何も原因がないのに、本人を責めていろいろ努力させようとするのは、あまりにも可哀想です。

 

→これは言い過ぎです。患者本人が心の調律をすることで、憑依がとれることが少なくありません。仏教の開祖の釈尊も、四諦・八正道により心の調律を説いたことは、歴史的事実です。

 

悪魔とか悪霊は絶対にいません。悪魔や悪霊と思うのは被害者意識のせいで、反対に、可哀想な死者を放置していた加害者が自分たちなのだと思ってはいかがでしょうか。

 

→そんなことはありません。これは宗教マターですが、(原始)仏典として「悪魔との対話」(たとえば、中村元『ブッダ悪魔との対話』岩波新書)が残っています。仏教徒であるはずの萩原玄明氏の仏教的見識が疑われます。実際の臨床現場でも、悪霊や悪魔が憑いたとしか思われない症状を呈するケースもあります。

 

このように、唯物論医学でも困りますが、素人でも分かる稚拙な知識や臨床経験で、誤った精神療法を行うのも問題です。

 

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