「ブラック企業」による雇用問題が世間を騒がせていますが、従業員だけでなく、雇用者にとっても念頭に置くべき問題です。
そこで、今回ご紹介するのが、新田龍『ワタミの失敗』(角川書店)です。
本書では、マスコミが騒いだほど、ワタミはそれほど「ブラック」だったわけでなく、ワタミのリスクマネジメントに問題があったと述べています。
たとえば、
・渡邉(ワタミの創業者)は何も、従業員を使い潰して搾取しようという意図を持って働かせていたわけではない。自らの成功体験を敷衍し、「労働が人間性を高める」ことが他人にもあまねく当てはまるものだと確信し、自らのファミリーたる従業員たちにも自身の成功体験を追体験してもらいたいと本気で願っている。この点が、他のブラック企業とは根幹が異なるポイントである。
また渡邉の場合、自らの高い能力や才能について無自覚であり、かつ謙虚な人柄でもある。従って、「こんな自分でもできたんだから、君たちにもできる!」と、高い水準の努力を意図せずして押しつけてしまっている構造も見て取れる。これもまた、発端は善意によるものだ。
と、雇用者と従業員の意識ギャップをキッチリ認識し、経営マネジメントする重要性が説かれています。
溝の口精神科・心療内科医が教える:うつ病予防のためのヒント