今年1月に起きた「コインチェック事件」は、約580億円もの仮想通貨がハッキング盗難され耳目を集めました。仮想通貨に投資していた方の中には、多額の損失を出した人がいたことでしょう。
投機目的が先に立って、仮想通貨についてキッチリ理解していないと、痛い目に遭います。そこで、今回ご紹介するのが、渡邉哲也『今だからこそ、知りたい「仮想通貨」の真実』(WAC)です。
仮想通貨関連の書籍はたくさん出版されていますが、投機をあおるたぐいの内容が多く、本書のように、仮想通貨の本質について、するどくメスを入れている本はほとんどありません。
たとえば、
・富の裏付けになるものがまったくないにもかかわらず、「価値があるかもしれない」とみなが信じて仮想通貨を売買しているだけであり、その意味で仮想通貨は学習雑誌の付録によくあったような「子供銀行券」と何ら変わりません。
・「非中央集権的な」ネットワークからなる「ビットコイン」などの多くの仮想通貨には、管理者が存在しません。仮に、通過そのものに何か大きなトラブルがあって、「ビットコイン」の流通が突然止まってしまった場合、誰も責任を取ってくれる人はいないのです。
などなど、仮想通貨の本質を鋭くえぐっています。大切な自分の資産が胡散霧消(うさんむしょう)しないように、十分理解した上で資産運用したいものです。