医療現場では、不治の病で余命いくばくもない患者さんが、宗教に救いを求めて心の平安を求めることが少なくありません。宗教に救いを求めるからには、死後の世界を前提として「引導」を渡してくれることを患者さんたちは期待しているわけです。
ところが、驚くべきことに、仏教の僧侶でも「霊魂の存在を否定している」ことがあるそうです!!
その問題点を指摘しているのが、鵜飼秀徳『「霊魂」を探して』(角川書店)です。
ジャーナリストで僧侶でもある著者が、宗教界で地道にアンケート調査した結果を述べています。
たとえば、
・2016年に伝統仏教教団に所属する僧侶計1,335名に「あなたは「霊魂」の存在を信じますか」と問うたところ、「1.信じる64.8%、2.信じない17.3%、3.その他18.0%」という結果で、信じない僧侶が17%もいたというのです!?
・また、教団別では、「2.信じる」と回答した割合が、浄土真宗ではわずか8%だったといいます。さらに驚くのが、その浄土真宗系僧侶のうち、「供養」「鎮魂」「除霊」などの宗教的儀式をしたと回答した割合が31%にも上ったといいます。
霊魂の存在を信じていないので、「供養」「鎮魂」「除霊」などをするというのは、矛盾していて理解に苦しみます。これでは、宗教に救いを求める患者さんたちが報われません。