良書は、繰り返し定期的に読み返したいものです。良書ほど、読み返すたびに「新たな発見」があるものです。
今回、私が読み返したのが、カール・ヒルティ『幸福論 1~3』(岩波文庫)です。
ヒルティは、1833年~1909年の人で、約110年前に亡くなったスイス人ですが、時代を超えて現代人にも通用する生きるヒントを教えてくれます。
たとえば、「仕事論」です。
・真の仕事ならどんなものであっても必ず、真面目にそれに没頭すれば間もなく興味が湧いてくるという性質を持っている。人を幸福にするのは仕事の種類ではなく、創造と成功との喜びである。この世の最大の不幸は、仕事を持たず、したがって一生の終わりにその成果を見ることのない生活である。
・仕事にも、あらゆる技術と同じく、そのこつがあり、それをのみこめば、仕事はずっと楽になる。・・・(中略)・・・障害にうちかつための第一歩は、その障害を知ることである。仕事ができるのを妨げるのは、主として怠惰である。
・勤勉は、感覚的な怠惰よりも一層強い動機がなければ生まれるものではない。・・・(中略)・・・この動機には、常に二種類ある。低い方の動機は、欲情、特に名誉心や貪欲、わけても生活維持の必要、などである。高い方の動機は、仕事そのものに対する・あるいはその人々のために仕事をしなければならぬその人々に対する・愛や責任感情である。
などなど、仕事への心構えが説かれています。