白黒思考 『アメリカの正義病 イスラムの原理病』

2016/02/24

精神医学では、物事の白黒をハッキリつけたがる完璧主義は、うつ病の元になると考えられています。

これは人間個人だけでなく、国レベルでも問題になります。

そこで、今回ご紹介するのが、岸田秀ら『アメリカの正義病 イスラムの原理病』(春秋社)です。

・欧米の一神教に対抗するために、天皇を神聖不可侵の存在にして、一種の疑似一神教を作ったのですが、そこに無理があったため、硬直化して、近代日本国家と日本軍の行動の自由を阻むことになりました。

・一神教の神というのは、基本的に正義を独占しているわけですから、一神教の神が支配する世界の中に悪が存在してはまずい。そうすると、悪というものを自分たちの世界の外に押し出そうとするわけです。内は正義でなければ具合が悪いから、自らの悪は外に投影してゆく。そうすると外が諸悪の根源になり敵になる。これはアメリカの正義病にまで通じる一神教の病理です。

などなど、歴史や世界情勢を精神分析的アプローチから読み解いていて参考になります。

現実世界は、白黒の他に、グレーゾーンがありますので、ある程度の曖昧さが残る余地を残しておくべきでしょう。


アメリカの正義病・イスラムの原理病―一神教の病理を読み解く/春秋社

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